赤い傷跡
瑠色さんとはこの女の人のことらしい。
いや、それどころではない。
なんで瑠色さんが煮えるのか?
「おばさん、それぐらいの温度だったら大丈夫です。煮えません。」
「いやいや、瑠色さん突っ込むとこ違いますよね?」
お婆ちゃんは、ああと理解したように手を合わせて笑った。
「そういえば、真輝ちゃん知らなかったか」
「ああ、そういえば。」
瑠色さんはそう呟いた。
あたしは、一人だけ話がついていけないまま夕食を食べた。
疑問に思ったことを瑠色さんに聞いてみた。
「あの、瑠色さんって外国人じゃないんですか?」
「?なんで?」
「いや、外国人っぽかったんで…」
「…そうか、でも日本人でもないかな?」
「えっ」
ますます瑠色さんのことが分からなくなり、頭を混乱させていると
瑠色さんはクスクス笑うと、お婆ちゃんにもういいですか?と聞いていた。
それにお婆ちゃんは頷いた。
瑠色さんは綺麗なスカイブルーの瞳を伏せ、静かに言った。
「私、人魚なの。」