赤い傷跡
「ただいま~」
靴を脱ごうとした時目にしたのは茶色の高いブーツ…
お婆ちゃんでもあたしでもない靴を見て誰か来たのだろうかと思い、
リビングを覗くと、
「あら、真輝ちゃんおかえりなさい。」
「お邪魔してます。」
「あ!!」
そこには夕飯を並べているお婆ちゃんと…
朝会った綺麗な女の人が何故かいた。
髪を靡かせその女の人はにっこりと微笑んで
「今朝はありがとうございました。」と言った。
「い、いえいえっ…」
頭を下げられると思わず緊張してこっちまで頭を下げてしまった。
「この人わざわざお礼を言いにここまで来たんだよ」
お婆ちゃんは炊いたごはんをつぎながらそう言うと、女の人の方を向いて
「しかし、昔と比べてまた美人さんになっちゃってぇ」
「いえ…そんな」
女の人は顔を少し赤らめて照れたような仕草をした。
「…え?二人とも知り合いなの?」
あたしがきょとんとしているとお婆ちゃんはなるほどと言ったような顔をする。
「真輝ちゃんはまだ小さかったから覚えてないのか」
そうお婆ちゃんが言うと女の人は懐かしむように
「一緒に海に行きましたもんね」と言う。
全然覚えてない…。
こんな美人の人と知り合いだったなんて…、
「あ、そうだ真輝。風呂場に水入れて。」
「は?!水じゃなくてお湯でしょ?!」
とうとうボケたかと思い突っ込むとお婆ちゃんは
「そしたら瑠色(るい)さんが煮えちゃうじゃないか」
「…………………………………………は?」