「セックスアンドザシックスティーズ」 第二話
「典子さんのところは離婚寸前なんですよね?どこまで話が進んでいるの?」
「映子さん、気にしてくれてありがとう。夫はいつでも離婚届に判を押すといってるのよ。財産も半分ずつにするって・・・でも、一人で暮らしてゆけるか不安なの。
母親がまだ実家には住んでいるけど、この歳になってから世話になりますって言えないでしょ?こっちが世話しなきゃいけない年齢になっているんだからね」
「そうよね、経済的なことはネックよね。私は離婚は考えてないの。このまま彼が限界に感じるまで甘えさせてもらって・・・終わりにするつもり」
「映子さん、とっても素敵に思えてきたわ・・・どこで知り合ったの?教えて」
「一年ほど前にね友達に誘われてカラオケを始めたの。いつも行くカラオケ喫茶のお客さんだったの」
「へえ~カラオケで・・・私は行った経験が無いから解らないけど、そういうことってよくあることなの?」
ちょっと興味を魅かれた典子の言葉だった。
「典子さんたらもしそういうことが良くあるって映子さんが言ったら、カラオケに行くつもりなの?」イヤミに聞こえるように恵子が典子を見ながら聞いた。
「言うわね!恵子さんはカラオケに行った事は無いの?」
「友達とボックスには何度か行った事があるけど、カラオケ喫茶はないよ。どういうところなんだか知らないし」
「間違っても出逢いを探す場所じゃないよ。歌いに行くところだからね。殆ど同世代から上の方たちばかりだから演歌が主よね歌は・・・人の歌を聞くことも勉強になると思わなきゃ、聞いてなんかいられないわよきっと」
「映子さん、そうなの・・・演歌か。聴くのは構わないけど、歌えないなあ」典子はそう言った。
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第二話 作家名:てっしゅう