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宇宙列車 私の夏休み

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宇宙港に到着 身体検査



 私たちを乗せているリニアモーターカーは宇宙港へ時速500キロで向かっている。空気抵抗の影響で、車両が振動している。心地良い揺れを感じる。

 私は外の景色を見た。延々と太陽電池が見える。反対側の窓には建設中の宇宙列車の高架橋が見える。これが完成すればモルジブシティからダイレクトに宇宙にいける。

「日差しがまぶしい。ねえ、カーテンを閉めて」
ボタンを押すと窓ガラスが暗い色に覆われた。まぶしい光は入らない。
「ねえ、美沙。もうじき宇宙港だわ。あと10分で」
「私、少し寝たいの」
列車の中では、宇宙旅行に参加した女学院生たちがわいわい騒いでいる。


 宇宙港に到着した私たちは厳重なチェックを行われる。
「午後3時に宇宙列車が発車します。他の人に迷惑かけないように素早い行動をしましょう」
引率者の南先生は20名の女学院生に、これからの予定を説明した。
「これから管理棟で制服と下着を全部脱いでください。全裸で体内スキャンを行います。爆発物や凶器が体内にないか確認するためです」
「えー!嫌だわ・・・」
「機械が全て行いますので、何も恥ずかしい事はありません。また機械を操作するのは女性職員です。体内スキャンが行われたら、次には新しい下着と私服に着替えてください。荷物検査も同時に行われます」

 私たちは何のやましいこともないし、また宗教とか政治思想とは無関係。なぜ厳重な管理がおこなわれるのか納得できない。

 管理棟に入った私たちは、一人一人すばやく個室に入り全裸になって、体内スキャンを行われる。誰も私たちの裸を見られる訳ではないが抵抗を感じる。
確認作業が終わると、下着を履き、私服を着た。これから宇宙列車に乗り込むところである。

 私は半袖Tシャツとショートパンツの私服で、みんなが来るのを待った。

 午後2時30分、宇宙港の周囲は慌ただしい。作業員たちの「早くしろ」と言う声が聞こえる。既に宇宙列車がホームに到着している。列車の高さは4.5メートル・幅3.4メートル、一両の長さは25メートル、東北新幹線MAXとほぼ同じくらいの大きさ。24両編成でそのうち3両は水と食料、空気を蓄えている。

 かつて人類を月に送ったサターンロケットの6倍くらいの大きさ。一気に600人を宇宙に送ることができる。

 空を見上げると、巨大な宇宙エレベーターが青空のかなたまで伸びている。それが、目に見えなくなるまで伸びている。

 私は人間が作ったものに畏敬の念を強く感じた。

作品名:宇宙列車 私の夏休み 作家名:ぽめ