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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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 ぶつかったところをさすりながら、袋を開けて逆さまにする。ころん、と可愛らしく出てきたのは、何と卵だった。恐竜の卵とか、ダチョウの卵とか、そういう武器になりそうなものじゃなくて、ただの鶏卵みたいなサイズだ。ウズラじゃないだけましだと、前向きにとらえるべきか悩む。・・・いや、そうじゃない。武器としての使い方も推察できないじゃないか。
「あの、羊元さん?これの使い方は?」
「知らん」
 そりゃないぜ。
「ともかく武器は渡した。契約成立だよ、この戦いから、あたしを守りな」
 羊元の宣言とともに、兵士たちが一斉に動き出した。そうだよな、契約締結のために止まっていてくれていたんだから、動いていいことになるもんね。でもちょっと待ってくれ。武器貰っても、使い方わかんなきゃ俺戦えないんだって!
 今の契約で、俺も戦闘参加者となった。戦闘参加者になった、ということはつまり、攻撃対象になったというわけで・・・
「ちょっと待て!たんま、たんま!」
 容赦なく兵士たちが襲ってきた。手にはあの警棒を持っている。あれで叩かれたら、剣じゃなくてもひとたまりもない。男は女より痛みに弱いんだ!あんたらだって男だからわかんだろうが!!
 卵を片手に、何かほかに武器がないか探す。宝亀と鷲尾を見たが、武器になりそうなのは宝亀の剣くらいだ。でも、剣なんかで攻撃したら、加減を知らない俺は、バンバン人を殺してしまうだろう。それだけは何としても避けたい。
 一人の男が警棒を振り下してきた。出来たためしもないのに、真剣白刃取りを試みる。