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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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「じゃあ、おれの武器は?」
 この質問には困った。だって鷲尾は武器という武器を持っていない。今も手ぶらで、ポケットハンドをしているだけだ。宝亀のように何かを背負っているということももちろんなくて、首輪は確かに違和感あるけど、武器とはいえない。もしかして。
「ポケットナイフかなんか、持ってるのか?」
「は?」と心底不思議な顔をされた。いや、もうちょっと遠慮しろよ、そこは。俺が虚しいじゃんか。
 しかしどうやら、本気で刃物はもっていないらしい。その後も聞いてみたが、スタンガンとかも持っていないというから、なおさら解らなくなった。そこでふと気付く。そうか。俺は武器を持っているという大前提にとらわれ過ぎていた。こいつの特殊能力なんて、俺は見たか?いや、変わったことはしていないはずだ。ともなれば答えは一つ。
 自信満々に宣言する。
「お前は武器を持っていない!」
「持ってなかったら能力は使えんと説明しただろうが」
 傍観に回っていた宝亀が、冷静かつ的確な突っ込みを入れた。そういうの解るんだ・・・。てっきり冗談の利かない頭の堅い奴だと勝手に思ってた。でも能力なんて見てないんだって。・・・あ、いや、違う。思いだした。俺の今までの移動のほとんどは、鷲尾の能力に従ったものじゃんか。地味だけど、かなり助かる「カーナビ」能力。あれ、グリフォンだっけ?つい地元の人に道案内してもらっている気分だった。でも、あれも思いだしてみれば能力って言ってたよな。