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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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 説明を求めると、また宝亀が難しい説明をしてきた。
 まず、王族の能力の話だ。
 王族の能力は形こそ違うものの、要は「逆らえない」「言いなりになる」というものだそうだ。様々な逃げ道は存在するものの、「能力」に慣れていなかったり、おつむがちょっとどころじゃなく弱い俺には、結構な難題だった。これでは説得するどころか、流されてどうなることやら。
 そこで出てくるのが、俺の能力らしい。
「え?やっぱり俺にも能力あんの?」
「ああ、当然だ。アリスほど特殊な存在はいないだろうが」
 あんたらの当然と俺の当然を一緒にするな。元の世界じゃ、振り返ったら同じような奴が五人くらい街中で見つけられちゃうような、脇役Dぐらいを徹底してるんだ。特殊なんて言葉は、夢のまた夢に存在するんだよ。
 ・・・ん?待てよ。それなら、このまま城へ行きゃいいじゃんか。なんでいちいち店なんかに行くんだ?この世界で、従属してないこの二人が献上品を持っていくことは考えにくい。あれ?もしかして、俺が情報貰うために買って行く感じ?
「俺、金とか持ってねぇンだけど!」
「金?」と聞き返してきた二人は、また顔を見合わせた。どうやら金の概念もないらしい。物々交換が全てって、逆に大変だなぁ。ってか、面倒くさい。
 金について目を輝かせて聞いてきた宝亀に、適当な説明を返してから、こちらもまた説明を求める。金がないのに、どうやって物を手に入れるのか?しかし、それ以前のところで問題が起こる。