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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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亀まがいに会いに


 鷲尾について歩いて、もう何時間が経っただろうか?黄色かった空はいびつな黄緑色になっていて、それはどうやら夕焼けらしかった。紫色の雲との色合いがひどすぎて、この世界のセンスを疑う。自然の色合いがここまで酷いなんて・・・、と。歩き続けているのも、ずーっと森の中。おかげで視界は空の色以外何も変わりやしない。そして疲労感も募るばかりだ。
「・・・まだか?」
「まだまだ。っていうか、そうだと思うよ」
 ん?
 俺は今のと同じ質問を、自分で言うのも恥ずかしいがもう五回くらいしてしまっている。けれども、「そうだと思う」なんて、今初めて聞いたぞ?こいつ、場所知ってんじゃないのか?
 思ったことをそのまま質問すると、鷲尾はしだれた枝を持ち上げながら笑った。
「あいつは一っ所に居ない奴だからなぁ」
「待て。それじゃ行けないんじゃねぇのか?」
 それに鷲尾の言ったところの契約違反であり、この世界じゃ犯罪のはずだ。すると鷲尾は持ち上げていただけの枝をパキリと折った。先っぽに付いた葉っぱをゆらゆらと振る。何がしたいのか、俺には分からない。
「何とも説明しにくいけど、俺の能力があれば行けるんだよ」
 そう言えば、前もそんなこと言ってたっけ?
 道すがら、ついでだからと鷲尾は自分の能力について詳しく教えてくれた。