その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「宝亀の鱗って何ができるんだ?」
「なに、大したことではない。それ越しに対象を見ると、私の持っている知識が視認できるってことだ」
いまいちよくわからないが、とにかくかざしてみればいいんだな?俺は目の前にいる鷲尾を透かして見てみた。すると。
『鷲尾獅子丸。アリス軍。能力名『グリフォン』、対象のいる場所を広い範囲で特定する』
なんだこれ、すっげぇ便利じゃん!ってかハイテクだな!というか、「アリス軍」って、宝亀の中だとこのチームは軍隊なのか?
「すげぇなこれ!」
「便利は便利なんだが、持っているだけで狙われるようになる。もし奪われそうになったら地面に投げ捨てて踏み壊せ」
「踏み・・・そんなんで壊れるのか?」
「地面に投げるだけでも割れるだろうが、完全に破壊するには踏んだ方が間違いない」
なるほど。これだけ便利な道具でも今までもらえなかったのはそういうことがあったのか。確かに、渡すには信頼関係が大切だろう。
貰った道具をカバンに仕舞っていると、打海がぽんと何かを肩に置いた。何だろうと目を向けると、ド派手なピンクのもふもふが・・・
「・・・って、うわぁっ!」
「にゃははははっ、盛大に驚きましたねぇ」
そりゃそうだ。だってそれはどう見たって尻尾なんだからな?!いきなり動物の尻尾オンリーの物を肩に乗っけられて驚かないのは相当肝の座った奴だけだって!
大体予想はついたけど、効果を聞いてみたら、やっぱり姿を消すというそのままの能力だった。タイムリミットがあるっていう違いはあったけども。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷