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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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「なるほどなるほど!これは、確かにあの亀まがいの友人たるにふさわしいやつじゃのう!!」
 今までの上品な笑い方ではなく、げらげらと実に楽しそうだ。こいつの考えが解らないのは、きっと俺の頭がこいつほどよくないからだと思うけど、こう言うのを見ていると別の頭がよくなくてもいいかなとか密かに感じた。
「・・・で、例外って何だよ?」
「そいつじゃよ」
 そういって指差したのは、先ほどまで彼と睨みあっていた打海だ。指差された彼はその行為が嫌だったのか、眉間に深いしわを寄せた。いつもへらへら笑ってるだけに、この表情は貴重な気がする。
 その表情を見た若杉はまた楽しそうに説明を続ける。
「チェシャ猫はな、ただアリスに仕える為だけに生まれた存在なんじゃよ」
「・・・は?」
「アリスに必要とされなくなったら、存在する意味もないと言うことじゃ」
 いや、待て、それくらいは何となくだけど解る。そうじゃなくて、それが契約の例外とどう繋がってくるのかがいまいちよくわからないんだって。
 恐らく俺と同じ偏差値の藤堂も同じように思ったらしい。
「ごめん、あたし良く解らないんだけど」と隣で呟いたので、思わず俺も同じボリュームで「大丈夫、俺もだ」と返してしまった。すると藤堂の隣りにいた根角が欠伸を交えて説明をしてくれる。
「簡単な話だよ。つまり、アリスに主従を切られれば死ぬってことでしょ?」
 え、そんな重大な話なの?俺の一言で打海って死ぬの?
 ぽかんとしていると、打海は苦虫を噛み潰したような顔でこっちを見た。
「そうですよ、『チェシャ猫』であるおいらは、命ごと『アリス』に預けてるんです」
 なんだかすごい話になってきた。俺の一言で誰かが死ぬとか怖すぎるんだが・・・。あ、でも主従じゃなくても、契約を切らなければ問題ないんじゃ・・・?
 そう思って聞いてみたら、恐ろしいほどの明るい笑顔が返ってくる。