その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「僕だって知らないよ!!でもここだって言ってるのさ!」
ナビゲート能力って、カーナビみたいに音声があるのか?その言い方だとそう思える。けど、まあ今はそれどころじゃないな。
「誰も責めないって。でも、どうやって入るんだ?」
「入り方までは解らないよ」
それもそうか。
皆で黙々とキノコを見ていると、宝亀がキノコの足の部分に触れる。探るように擦って、諦めたようにため息をついた。
「扉でもあるかと思ったが・・・ないな」
どういうことだ?ってか、ここまできて行き詰まり?
「ちょ、マジでないのかよ!」
身を乗り出してキノコに触ってみようとする。が、キノコが大量に生えているせいで足場がかなり悪かった。見事にバランスを崩した俺は、そのままキノコの足に体当たりをすることになる。
くるり
「!!」
キノコの足の一部が回転すると、中に空洞があった。俺に続いて、皆が中に入ってくる。
「なるほど、こういう仕組みになっていたのか・・・」
「へぇ〜!これじゃあ確かにドアノブも何もいらねぇな」
ぞろぞろとキノコの足の中に皆が入ってくるんだけど・・・
これ、多分四人が限界だぞ?
それでも彼らは一度外で待機するという考えはないようで、足の中にぎゅうぎゅうに六人が詰め込まれた。扉が閉まると、ガコンと音が鳴った。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷