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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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「・・・解ったよ、案内すればいいんだろう、案内すれば」
 相当投げやりだが、根角はお手上げというふうに手のひらを上に向けて首を振った。実際にそんな動作をする人を見たのが初めてだったので、心なしか「おおっ!」と感動してしまった。
 喜んだ俺達とは反対に、藤堂が心配そうな顔で彼を見る。
「待ってよ、根角!いいの?根角がいない間に村に赤や白が来るかもしれないよ?」
「別に気にしないよ。僕がいたって何かできるわけでもないし」
 確かに家に閉じこもってる姿とか、能力の話を聞いても根角が非戦闘要員なのはすぐに解る。体格も平均的な姿の俺と比べてずっとひょろいし、力があるとは思えなかった。
 あっさりと村に残ることを却下されてしまった藤堂は、何かを言おうとしては止め、という動作を何度か繰り返し、それからぎゅーっと口を結ぶ。
 それから高らかに宣言した。
「あーもう!解った!あたしも行く!!」
「村が心配なら、藤堂こそ残ったら?」
「いいの、行くの!」
 気付けよ根角、藤堂が心配なのは村じゃなくてお前だって。初対面だったのになんか同情して来たぞ藤堂・・・
 彼女を憐れんでいる俺に、こそっと打海が教えてくれる。
「藤堂の能力は便利なんで、これは大層な拾いものですよ。主」
 ま、拾ったわけじゃないんだけどな・・・
 そんなわけで、グリムの家に行くまでの間、根角と藤堂が仲間に加わったのである。