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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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 赤と白は互いに競うようにして配下を手に入れているらしい。しかし白が力が均衡するようにしているのも事実で、それは戦争を楽しんでいるためなのだそうだ。だから、本来なら一方が鷲尾と宝亀を配下に置き、もう一方が根角とグリムを配下に置くべきだったという。
 しかしここで俺が鷲尾と宝亀を手に入れてしまうという事態が起きた。そしてそれがこの戦争を左右しかねない事態を生む。
 戦争を早く終わらせたい赤は、何とかしてグリムを手に入れようと躍起になり、血眼で根角を探している。また戦争を長引かせたい白は、何とかしてそれを阻止するために、グリムを支配下に置くか、根角を殺すことでその事態を避けようと目論んでいるだろうと予測できるのだそうだ。
 そして両者ともに、その願いを叶えるためなら手段を選ばない。
「もし公爵夫人が先に来たなら、村の者たちを一人ずつ調べ、『ネズミ』じゃない者の首を片っ端から刎ねていくだろう」
 赤の女王に心酔する公爵夫人は、よく彼女と同じ手法を取るのだとか。
「もしディーとダムが来たら、確認などせずに村全体を焼き払うかもな」
 やりそうだ。あの二人ならやりそうだ・・・!!
 話を聞いている間、恨めしそうな顔で根角が宝亀を見ていた。説明を終えた彼女は、その視線を真正面から受け止める。
「さて、そこで相談だ。グリムの家を教えてほしい」
「・・・それは、脅しというよ」
「立派な交渉だろう?お前もグリムに村を救う方法を教わればいい」
「・・・無理な話だね。ボクは限られた範囲でしか特定できない」
「案ずるな。獅子丸がそこまで連れて行ってくれる。それが、我々からの『契約代償』だ」
「・・・我々からの?」
 根角が眉間にしわを寄せた。宝亀は腕を組むと、根角を見下ろす。