その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「あー・・・こりゃ無理だな」
鷲尾が困ってガリガリと頭を掻いた。確かにこれでは鷲尾の能力の意味は無くなってしまう。忘れてしまったかも知れない人たちのために、もう一度説明しよう。
鷲尾の能力「グリフォン」というのは、範囲を特定する能力と言える。
簡単に言えば、学校にいることは解っているけど、教室までは解らない、みたいな感じだ。うん、前回よりは解りやすいか?
つまり、ここにいることは解っても、このキノコの山のどこにグリムがいるのかまでは解らないのだ。
宝亀の時も同じで、あの時は確か・・・
「名前呼んでみれば?」
「呼んで出てきてくれる奴だったら途方にくれないって」
確かに話を聞く限りでは、そんな感じの奴じゃなかった。でも、駄目もとって言う言葉もある。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷