その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「グリムって奴は、誰かに仕えてないのか?」
「ああ。亀まがい、グリム、ドアノブは三柱と言われてな。過去、誰の下にも付いたことがない連中だ」
そう聞くと「亀まがい」が従っている、と言うのがどれだけ凄いことなのか、少しだけ解った気がした。なんだって俺の時に付こうと思ったんだろうな・・・
ともかく、グリムが誰かの元に付いていると言うことはないらしい。鷲尾がいれば、どこにいるのか解るわけだし、遭うまでは良いだろう。
「今回三人は・・・」
「俺がいないと場所解らないし、宝亀がいないと説得ができないし、打海がいることで説得力が増すから、わらわら行きゃいいだろ」
鷲尾が笑う。一人じゃないってのは安心だ。個人的には打海の存在意義が多少気になるところだけど、戦闘を避けて向かうなら、打海の能力は確かに捨てがたい。
「よし、行くか!」
そう伸びをして言った鷲尾に賛同し、俺たちは彼に続いてグリムの居場所を目指し出した。
しかし着いてから、茫然とした事態に襲われる。
巨大なキノコがわさわさと生えているところだった。そこまではまだいい。問題はここからだった。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷