その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
ネズミとドードー
白の城から大分離れたところで、俺たちは鷲尾から降りた。空は緑色になりかけていて、もうそろそろ夜になる。もう一日が経ったのか?早いな・・・
俺たちを全員下ろすと、鷲尾がぶるぶるっと身を震わせた。身体が淡く光り出すと、ぐにゃりと変形し、人の姿になったのだが・・・
素っ裸だった。
「よかったな、アリス!助かって」
「わかったよかった確かによかっただから服を着ろ!!」
「え、ああ、そっか」
ああそっかじゃねぇよ、宝亀がいるんだぞ!男勝りでこの中で多分一番カッコいいけど、一応彼女は女の子なんだから、その前で真っ裸はねぇだろ!いや厳密に言えばグリフォンの時も残ってた鎖の付いた首輪が付いているわけなんだけども、それはもう変態くさい身なりなんだ。
慌てて宝亀を見たが、彼女は慌てることも照れることもなかった。むしろ平然としている。
かと思いきや、ただただ視界に入っていなかったらしい。彼の顔を見るなり、眉間にしわを寄せた。恥じらうそぶりが見られないのがまた勇ましいけど・・・
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷