その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「アリス!信じてくれた?」「解ったでしょう?」
それはもうここまできたら信じるほかないじゃないか。というか、やっぱり入る必要はなかったんじゃ・・・
ダメだ。これ以上考えていても仕方がない。というか、相手をするだけ無駄だ。さっさとこんな城出ないと。
・・・待てよ?
城ってことは、ここにも王族がいるってことだ。そして、俺が本来会うつもりだったのは、白の王族の方で・・・
つまりこれって、実はチャンスなのかも。
「なあ!王族に会えないかな?」
凄い無礼なことを言ってるのは解ってるけど、赤の王の時みたいにあっさりと会えるかもしれない。アリスだってことを今度こそ隠し通せばいいわけだし!
すると、二人は不満な顔をした。そんな簡単には会えないってことか?
「もう帰っちゃうの?」「一緒に遊ぼうよー」
一体全体何がどうなってそんな話に飛躍した?解らない。こいつらの考えてることが全然解らない!
しかし、馬鹿だけど俺だって学習はする。こいつらに関しては考えるだけ無駄だ。聞いた方が早い。契約だなんだって言わないからな。
「なんでそんな飛躍するんだよ」
「だって王様に会いたいってことは」
「お城を出たいってことでしょう?」
「・・・『だって』が俺の中で働かないんだけどさ」
頭を抱えてそういうと、俺の手を片方ずつ、両手で握ってくる。和希は可愛いけど、和樹はキモいからやめてくれ。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷