その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「あたし達はね?あたし達自身や触ってる物を交換できるの」
・・・いや、解ってる。俺の理解力の低さが原因だって、ちゃんと自覚してる。でも解らないんだって!意味が!!非現実的すぎて!!!
「な、中身が入れ替わるとか、そういうことか?」
「え、僕が女の子の恰好してるの見たいの?」
違う。断じて違う。中身ってそんな中途半端な話じゃねぇよ。もっと精神的な話だ。でもこれは言わなかった。言ってもどうせ面倒なことになるだけだろうからな・・・
「すいません解りません馬鹿な私めにも解るようご説明願います!」
苛立ちから息継ぎもせずにそう言ったが、息継ぎ無しでこの長さは地味にしんどく、最終的にはあはあとみっともなく肩で息をする羽目になる。馬鹿な上に体力ももやしで自分自身が誠に残念だよ、もう…。
俺渾身の嫌味を聞いた二人は顔を合わせると、また俺に視線を戻して同時に拍手を送ってきた。馬鹿にしてんじゃねぇぞ、てめぇら・・・。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷