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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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「僕らの能力も気になるでしょ?」
 確かに気になってる。
 次に、和希が俺の左肩にポンと手を置いて笑う。
「能力を教えるついでに、武器についても少しだけ説明してあげるよ?」
 それは鷲尾から聞いたから大丈夫なはずだ。そんな物で釣られるわけにはいかない。
「ここで教えてもらえば済む話じゃないのか?」
 どうだ?これで返せまい。やはりわざわざ中に入る必要なんて・・・
「本当にそれでいいの?」
「結構長いんだよ?」
 妙に驚いた顔で二人が俺を見てくる。え?俺なんか変な事言ったっけ?
 久々の沈黙に、水色の木々のこすれあう梢が聞こえてきた。日の光が赤い雑草に当たって、未だに火じゃないかとドキッとする。・・・ん?日の光?
 ハッと思いだして、バッと空を仰いだ。空は綺麗な黄色で、現実時間で言うと、午前九時くらいと言ったところか。そしてつまりそれは、少なくとも夜じゃない。
「ここで」「僕らと」「なっがぁーく」「話しこんでもいいんだけど?」「白の城の周りなんて」「赤の兵もよく来るし?」「危険極まりない地帯で?」「白に仕えるボクらと」「色々仲良く話してたら」「普通は白だと思うよね」
 交互に長々と語った後、二人は俺の肩から手を離して、門をくぐりぬけた。くるりと方向転換して、俺を視界にとらえる。