その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「じゃあ入ろうか」
「え?」
入る?白の城に遊びに行く、っていう契約じゃなかったっけ?
俺の言わんとすることはすぐばれる。和希がぶうっと膨れた顔でこちらを見た。
「白の城に遊びに行く、なんだから、白の城で遊ばないと!」
何その言葉尻捉えたような発言。入らなくていいんじゃないの・・・?
「白の王は娯楽家だからね!いろんなアトラクションがあるんだよ!」
待て待て。俺は遊んでる暇なんてないんだって。早く帰らないと流石に真面目を装ってきた人生が終わるんだって。不良になる気はさらさらないし、流浪人になる気も全くないんだって!
「遊びに行くって言ったからって遊ぶ必要はないだろ。あくまで行くところまでが契約のはずだ」
ってか、こいつらの遊びっていうのが正直怖い。人を的に射的とか、毒薬使ってロシアンルーレットさせる、みたいな残酷なことに違いないからだ。しかし、和希も食い下がる。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷