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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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「ねぇアリス?あなた、王族を目指してるんじゃないの?」
「・・・は?」
 文字にすると簡素だが、お茶を飲んでいたら吹き出してる頃だし、漫画だったらあごが外れているところだ。実際は目が自分でも驚くくらい開いたくらいだけども。
 バタバタと手を振って慌てて否定しつつ、気になったので思わず尋ねた。
「なんで王族になれるんだよ!」
「ん?」「あれ?」
 和希と和樹は視線を合わせると、同時に首をかしげた。俺そんなに変な事言ってるの?
 が、そうではなく、昨日の昼と同じ内容の質問が返された。
「チェシャ猫から聞いてないの?」「あの猫何教えたの?」
「ちょ・・・会ったばっかりだったんだって!」
「嘘はついちゃだめだよ」「泥棒になりたいんじゃないでしょ?」
 こいつら・・・。少しは俺を信じろよ!そんなに疑われるようなことしてないだろ?まあ、信用して貰えるような事もしてないけどさ・・・
「ホントだよ」と返すと、二人は置物のように固まってしまった。しばらく観察していると、不意に電源が入ったように動き出す。