その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「えい」「やあ」
「うわぁ!」
二人同時に、片手ずつで俺の胸部を触ってきた。女の子がこの行為をどれだけ恐怖するのか解らないけど、男だっていきなりやられたら飛び上がるくらいにはびっくりする。
二人の手を振り払って、思わず胸を手で押さえた。
「何すんだよっ!」
俺の胸にあてた手をそのまま、揃ってわきわきと動かした。
「いや・・・」「ねぇ?」「だって」「ほわぁ」
「「本当に女の子じゃないんだね!」」
こいつら超失礼だ。ってか男の方、お前もし俺が女の子だったらどうすんだよ、痴漢だぞ痴漢!ってか女の子だって下手したら痴女にされるぞ!
はぁ・・・とため息をついてから少し考える。この場合、俺はアリスだって言っていいのか?なんでかもうバレてるっぽいけど・・・
確認を取ろうと打海を見ると、彼は全く動かない。ただひたすらに、二人を警戒している。なんなんだ?この二人・・・
自己判断した結果、すぐに教えるのは危険だと言う結論に至った。が、しらばっくれるのは危険だ。だったら、残る手立ては一つだ。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷