その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
動きに応じて、制約を増やしたり減らしたりすることができる。
従属する際に、ある程度の制約をつけられる。従属した相手に危害を与えてはいけないというのは最低限の制約だ。俺は誰ともそういうのを作ってないので、ここでは雪坂を例に出そう。
彼女の場合、「時間厳守」、「制服着用」等の「制約」が付いているらしい。そして宰相としての仕事が評価された「賞与」として、「自由外出許可」が与えられたという。
「要は束縛か」
「にゃははっ、そう言っちゃうとわがままっぽいけどね」
「その制約に関して、禁止事項とか・・・そういうのはあるのか?」
聞いた後、あるに決まってんじゃんと思い、思わず赤面した。が、雪坂が淡々と答えてくれる。
「ありません」
ほらやっぱり決まって・・・ない?今ないって言ったのか?
驚いた顔から察したのだろう、雪坂が感情のない目を向けてくる。
「はい。赤の女王の制約として『白の兵士を一日一人殺してこい』と言われれば、従属している私は守らなければなりません」
「主から『主を殺すこと』と制約されれば、殺さなければならないんですよ。たとえ最低限の制約があったとしても、ね」
雪坂の言葉を受けた打海が、皮肉気な顔で笑った。笑い事じゃないだろ?お前らは「従属」しちゃってるんだぞ?何時そんな制約が来るか解らないのに・・・
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷