その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
そして、ここからが本題。打海の能力の特異さが、今回の事態解決に関与している。
通常はワンダーかミラーのどちらかの能力しかない。が、打海の場合は自分の姿を消すこともできるし、相手の姿も消すことができる。今回のように俺たちの姿と打海の姿を同時に消すことまでできるという。
もう解ったかと思うけど、続けさせてもらう。つまりは俺たちの姿を消して、城から出てきたのだ。
一見万能に見える打海の能力だが、実は一つ問題がある。
それはしゃべってはいけないと言うことだ。しゃべると能力が無効化され、こちらの姿がばれてしまうのだと言う。笑い上戸な彼にはかわいそうな話だ。
「じゃあ、不意打ちとかは出来ないのか?」
居場所を特定されるのがダメだと言うのなら、つまりはこちらからのアクションができない、と考えるのが妥当だろう。が、打海はきょとんとした顔で答える。
「できますよ?」
「へ?」
「殴る、蹴る、投げる、タックル、何でも平気です。しゃべるのだけが無理なんですよ」
よく解らないけど、とにかくしゃべらなけりゃいいんだな。
・・・ん?そこで一つ思い出した。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷