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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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「アリス、どうだった?中間」
 話しかけてきたのは、クラスでも中くらいのレベルを保っている浜谷(はまや)だ。下の中という低空飛行を保っている俺にとっては、十分頭がいいと言える頭脳の持ち主ともいえる。席が隣だというだけでいろいろ話しかけられるのだが、テストの後は特に恒例になっていた。テストってのは、中間期末の大きなテスト以外に、小テストも含んでいる。
 当然俺の酷い成績を教えたこともなく、俺が一方的に浜谷の成績自慢を聞いているだけだ。いや、浜谷はただ報告しているだけで、さしていい成績でもなく、彼自身も自慢しているつもりなど露ほどもないのだろうが。
 今回もまた「俺50点台で期末冷や冷やもんよ〜」と嘆く浜谷に、俺は相槌だけ打って成績なんて教えやしない。すると浜谷は恨めしそうに俺を見つめる。
「いいなぁ・・・、どうせお前成績いいんだろ?」
 チタンフレームの黒ぶちメガネに、大していじっていない落ち着いた髪形。制服を着崩すこともなく、授業もノートだけは真面目にとっている。基本的には面倒くさかっただけだったり、ノートも落書きが多かったりするのだが、見た目だけは俺は真面目で優秀そうな生徒だ。だから浜谷は俺の事を外見から秀才と認識し、成績がいいのだと思い込んでいる。ま、俺が言ったわけじゃないし、気分もいいから訂正はしていないのだけど。