その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「処刑しましょう。スパッと首を切りたい顔だわ」
どんな顔だよっ!
・・・って、突っ込んでる場合じゃない!殺される?こんな異世界で?そんなの絶対にごめんだ。でも逃げられるのか?腰につけた袋を思わず握った。無効化なんて、何の役に立つんだよぉ・・・
すると、笑顔を崩すことなく、呉也が宥めてくれた。
「ダメだよ。兵士は使い捨てなんだから」
え?今さらりと怖い事言わなかった?
けれどもその一言で朱里の方は納得してくれたようだ。
「まぁ、いいでしょう。で?」
赤色って、こんなに威圧感増す効果あったっけ?そう思うくらい、高圧的な視線を送ってきた。俺はドMじゃないから、これにときめくなんて無理だ。恐怖しかない。
「あの、えっと、ですね・・・」
「条件を達成できるならいいわ」
俺のしゃべる番じゃなかったんですね、すいません。それにしても、従属?だっけ?それにも契約と同じように条件なんてあるんだなぁ。
のんきにそんなことを思っていると、その平和さを吹き飛ばす言葉がかけられる。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷