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その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

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「はい。あのグリフォンと亀まがいが配下についたそうですから」
「何だって!」
 大声を上げて、服部が立ち上がった。起きるかと思った愛川は、すこし唸ってからごろりと寝がえりをうっただけだ。イカれたパーティー主催者三名は、どうやらみんなそろって睡眠に特化してるらしい。俺も寝たい。
 さっきまでの気遣いは何処へやら。服部は声を荒げたまま打海に怒鳴った。
「あの二人が誰かに仕えるなんてありえない!」
「そうだねぇ、おいらもびっくりしたさ」
 あまりにも他人事に言うもんだから、きっと疑わしかったんだろう。俺もそう感じたからわかる。
「嘘だろう?その情報」
 服部が念押しをすると、アニメのチェシャ猫のように、にやぁっと笑った。
「チェシャ猫は試すけど、嘘だけはついちゃいけないのさ」
 どういう能力を持っているのか解らないけど、どうやらそういうものらしい。その一言で、半分も信じていなかった服部が、ため息をついてその場に座り込んだ。