その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「無効化の力を使わせるのさ、王族のためにね」
「なんで無効化が・・・」
「王族の能力は知ってるだろう?」
知るか。
「相手の王族の能力を無効化して、レイゾクさせようとそろって考えているわけさ」
レイゾクって・・・、あ、隷属か。非日常言語すぎて、一発変換できなかった。
でも、能力さえ封じれば、簡単に相手に隷属なんてするのか?
その質問を待たずに、服部は話を続ける。
「でも白に勝ち目はないだろうな」
「え、なんで?」
「なんでって・・・羊元がいないだろう?」
なんでそこで羊元が出てくるんだ?
「羊元がいないと武器が作れない。武器無しでは能力も使えない」
この世界にあるあらゆる武器は、全て羊元が作っていたのか。あんな中学生みたいな子が凄いな。感心する。
うんうんと思わずうなずいていると、ゴホンと咳ばらいがした。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷