その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「くだらないケンカするくらいなら、せーので言えば?」
・・・は?せーので言えって、バカじゃないのか?そんなの何の解決にもなんないだろ!
と、思っていたのだが。
「そっか、それが早いね!」
「そうだな、それが最適だ」
え?賛成するの?そこ。
二人は何の合図もなく同時に息を吸うと、まさかの同じ言葉が出てきた。
「僕を笑わせてくれたらいいよ」「あたしを笑わせてくれたらいいよ」
・・・今の今まですっげー些細なことで笑ってなかった?こいつら。思ったよりもハードルは低そうだ。
でも安心するのは少し早かった。
「んじゃ、僕ら二人を笑わせたら、二人で案内してやろう」
「・・・は?」
待て待て。なんかグレードアップしてないか?
慌てて質問を投げつける。
「ちょ、待て!どっちか一人じゃねぇの?案内だって一人がしてくれればいいって!」
「それでは不公平だろう。僕も愛川も楽しみたいって言ってるんだから、そこに差別はしないべきだ」
しまった。ここでも出て来るのか、公平って言葉がっ・・・!しかもその理論が解らないから、反論もできねぇし!
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷