小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

INDEX|157ページ/343ページ|

次のページ前のページ
 

 寝ぼけ眼に悪いんじゃないかと思うくらい、ぐりぐりと強く目をこすってから口を開く。
「なにまたわけのわからないケンカしてるの?」
 一番年下が一番まともなこと言ったよ、おい。この三人何なんだ?ていうか、何繋がり?兄妹?
 むくりと席を立つと、思ったより身長が低かった。席を立つ、というよりは、椅子から飛び降りるっていったほうが正しいかもしれない。なにせ、ここに並ぶ椅子はいささか足が長いからだ。そのまま姿が見えなくなったかと思うと、テーブルの下から姿を現した。確かにテーブルの上を行くより行儀もいいし、ぐるりと回るより時間も体力の省けるだろう。その身長じゃなきゃ思いつかないけどな。
 こちら側に来るなり、今まで放置されていた服部に近づいた。
「はっとり、またたおれてる」
「おっと、これは気付かなかった」
 気付くだろ!なんで気付かないんだよ!
 長い脚を乱暴にグルンと回し、器用なことにその勢いで立ち上がった。パンパンと服を叩き、夢野の方を見る。
「いや、いきなり皆が視界から消えて、空の色だけが広がったもんだから、何かの術かと思ったよ」
 それこそ何の冗談だよ。呆れて思わず空を見上げた。いつの間にか時間がたっていて、黄色かった空は黄緑色になっている。この世界の夕焼けだ。