その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「公平とは何なのか!」
「それは平等ってこと!」
・・・平等?俺の受けた扱いの何が平等なのか?
その質問は想定内の物だったらしい。彼らはぐるぐると回転して、にこりと笑った。
「僕はかなり公平なんだ。能力者が不公平にならないように、誕生日じゃない者も誕生日の者も、わけ隔てなく祝うだろ?」
「あたしだってそうだよ。非能力者も不公平にならないように、誕生日じゃない者も誕生日の者も、わけ隔てなく祝わないもの」
待て待て。それじゃあ能力者と非能力者が公平じゃないじゃないか。
それを言うと、二人は一度顔を合わせてから首をかしげた。
「公平じゃないって?」
意味が解らないのか?信じられないけど、能力者と非能力者が明らかに違うことを伝えた。するとまた笑われた。こいつらほんっとに感じ悪いな!
先に笑い終えた服部が、涙をぬぐいながら帽子を直した。笑ったせいでずれたらしい。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷