小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

INDEX|149ページ/343ページ|

次のページ前のページ
 

「ふむ。その考えは確かかもな」
「でしょう?普通なら契約しないもの」
 思わぬところで契約が効果を発揮した。契約しておいてよかった。怖くてもしてみるものだな。
 席を立って裾を直した服部は、胸ポケットから時計を取り出した。懐中時計を見る。
「・・・ている服部銀河だ。しがない帽子屋さ」
 いきなり自己紹介をしてきたので、頭の方をすこし聞き逃した。平気だよな、何か大切なことじゃないよな。
 今度は隣で反っていた分取り戻すように、少女がぴょんと跳ねかえった。びっくりして声をあげてしまった。二人がぎょっと見てきて、盛大に笑われる。失礼だぞ、こいつら。小学校の時に必ずいた、いじめっ子タイプだ。
 さんざん笑った後、彼女は走ってユメノのほうまで回る。
「あたしは弥生だよ、愛川弥生ィ!」
 そしてそのまま眠るユメノの手を持って、ぶんぶんと振らせた。起きないユメノがすごい。
「この子は夢野、夢野耶澄だよ!」
 !!夢野は名字だったのか。そう言えば、ここの住人は、あまり人の事を下の名前で呼んでなかったな。鷲尾然り、宝亀然りだ。