その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「ならこれは、君のためのパーティーだ!」
「は?」
通りすがりのためのパーティーって何なんだ?そういえば、ユメノもそんなことを言っていた気がする。俺のためのパーティーでもあるって言ってた気もする。
ここは正直に行こう。
そう決めて「なんのパーティーなんだ?」と聞こうと思った時、まるで飲み会の掛け声のようにそれが始まった。
「公平さは大切だ」と男が言うと
「大切なら大事にしなきゃ」と少女が返す。
んで、そうやって同じ様に掛け合った。
「誕生日だけが祝われるなんて」
「そんなの絶対不公平!」
「だったら他の日どうすればいい?」
「誕生日じゃない日も祝いましょう!」
誰にも誕生日があるのだから、その時点で公平じゃないか。
二人はカゴメカゴメのように、ぐるぐると周り始めた。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷