小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

INDEX|141ページ/343ページ|

次のページ前のページ
 

「これ、食っていいものなのか?」
 凄く美味しそうだし、めちゃくちゃ腹減ってるのは確かだから、食い物をくれるのは助かる。でも、こんな綺麗にセットされてるのに、本客が来る前に通りすがりが食べていいものだとは思えないんだ。
 相変わらず顔を上げることはないが、答えてはくれた。
「いいよ。それは誰かのためであって、貴方のための物でもあるから」
 ・・・この子が使ってるのは、この世界の言葉か?知ってる単語だし文法も一緒だけど、俺の知ってる日本語の言い回しじゃない。それに、小学生がこんな難しい言い回しは知らないだろう。
 ひねくれ者なのか?

 ぐ〜

 ・・・また腹が鳴った。これだけ疑ってかかっているのに、正直すぎる腹の虫に羞恥心が込み上げてきた。今度は顔が真っ赤になるのが解る。
 次の言葉が出て来なくなった俺を、じっと見つめてくる。相手もまた、言葉を発してくれない。切なくて恥ずかしいだけの沈黙が続く。