小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

INDEX|134ページ/343ページ|

次のページ前のページ
 

 カチャリ

 ・・・そうだった。いまさら思い出した。なんでこんなところに迷い込む羽目になったのか。あのコスプレ美少女に、金の懐中時計を返すためだ。今思えば、決してコスプレしていたわけではないようだけれど、もう印象付いてしまったのでどうしようもない。ともかく、これを返さなければ、いくら帰れたとしても苦労が水の泡だ。あの時三人に聞いとくんだったな。

 ぐ〜・・・

 本日二回目。今まで言ってこなかっただけで、何も食べていなかったわけではない。宝亀や鷲尾が、代わる代わるご飯となる木の実とか果物を持ってきてくれた。味もおいしかったし、みずみずしかったので水分補給も出来ていた気がする。が、育ち盛りの男子に木の実や果実のみの食事というのは、いささかいただけない。いただけないって言うか、こう、足りないんだ。肉とまではいかなくとも、せめて魚とか、力の付く料理が食べたい。贅沢なのは解っているけれども!

 ぐ〜・・・

 食い物の事なんて考えてるから、余計腹が減ってきた。ともかく腹が減っては戦は出来ぬというじゃないか。何か食おう、なんか。
 不意に、いい香りが流れてきた。何だろう?でも、なんだかとてもいい匂いだ。匂いのする方を見てみると、白い木々の間をくぐって流れてきているらしい。昔見た子供向けのアニメのように、その匂いに導かれていく。