その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
主従どちらかが死亡した場合だ。この場合、承諾だのなんだの、面倒くさい手続きがない。
つまりこう長々と何を言いたかったのかというと。
宝亀が俺に仕えていると解ったならば、命を狙われるかもしれないということだ。いや、かもしれないどころじゃない、確信に近い要素が強いという。ファンタジーが、一気にアクションになったら、俺は生きられる自信がない。
ゆえに俺は一人で戦争をしている大将のところへ赴き、屈強かと思われる相手と交渉、場合によっては説得し、許可証をもらわないといけないわけだ。この、勉強もできなければ、機転も利かない人間が、一人で。
「・・・すっげぇ不安になってきた」
本当に帰れるのか?
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷