その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「で、あんたらはこれからどうするんだい?」
振り返ると、編み棒を店に置いてきたらしい羊元が立っていた。いつ出てきたんだか。
そう言えば、武器を取りにこの店に来たんだ。で、それは何かの対策だった気が・・・
「ああ、有須は許可証をもらいに行かねば」
・・・あれ?
「『有須は』って・・・、お前らは?」
「申し訳ないが、我々は同行できない」
気まずいのだろう。宝亀は視線を逸らす。鷲尾はというと、あははと乾いた笑いを見せてきた。こいつには誠意がないのか?
バカな俺のために長々と説明してくれたので、またまたまとめてみよう。
完全に忘れていたが、宝亀は両王が喉から手が出るほどほしがっている存在だ。思い出せば、だからこそ鷲尾は捕まっていたんだ。彼の能力があれば、俺と同じよう宝亀にたどり着くことができる。
そしてそんな二人を俺は従属させてしまったのだ。ちなみに従属破棄というのは、主従双方が破棄を認めた場合という。
しかしこれには例外がある。
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷