小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

その穴の奥、鏡の向こうに・穴編

INDEX|122ページ/343ページ|

次のページ前のページ
 

「なぁ、これって契約じゃねぇの?」
「ああ、もちろんただとは言わん」
 何故か白の騎士が答えてくれた。気付けば、奥から一人の兵士が巾着袋のようなものを持ってくるのが見える。白の王って日本家屋の中にいるんじゃない?
「『羊』が今最も求めているという、『クッキー』だ」
 ・・・クッキー?って、あのクッキーのこと?毛糸を黙々と編んでいた羊元から考えると、クッキーくらい作れそうなもんだけど。
 少し悔しそうに、それでもほしかったのだろう。羊元は兵士の手から巾着袋をふんだくった。中を見て鼻を鳴らす。
「本っ当にあたしゃあんたらが嫌いだよ!」
 捨て台詞を残して、店の方へ引っ込んでいく。真正面から誰かに嫌いと言うのは凄い。が。
 見送っていた視線を、騎士の方へ戻す。と、また笑っていたのだ。嫌いとか言われたのに!
 ぎょっと見ていると、相手は俺の方に向き直った。
「失礼した」
「ああ・・・いえ、お気になさらず」
「それは良かった」
 さわやか、なのだろうか?俺には腹黒く見える。そう見える自分が歪んでいる気もするけども。
 騎士はそれだけ言うと、背を向けて歩き出した。