その穴の奥、鏡の向こうに・穴編
「白政(あきまさ)は白の王だ」
あ、無視されたかと思ってた。お答えどうも・・・って、白の王?王様の事名前で呼んじゃうの?それっていいわけ?
いろいろ疑問は残ったけど、もう質問する余裕なんてなかった。
竜というよりも、ドラゴンというほうがしっくりくるかもしれない。同義語じゃんって思う人のために言えば、東洋のそれじゃなくて、西洋のあれだ。・・・これで伝わるものか、俺もちょっと不安なんだけど。
体は全身真っ黒。胴体がずんぐりとしていて、手足はやっぱりアンバランスに小さい。首はキリンみたいにグンと長くて、蝙蝠みたいな翼も小さめだ。
そして何より印象的だったのが顔だ。ひげと呼んでもいいのかと思うくらい、太いひげがだらりと落ちているところまではいい。顔がペチャンコなのだ。ブルドッグのイメージがいいかもしれない。鋭い牙は立派すぎて口に収まらず、牙の隙間からだらだらとよだれが垂れている。
まとめるなら、かなりグロテスクなお姿だってことだ。
「しょ・・・召喚獣的な・・・?」
「いや、あれは柳崎だ」
は?
耳を疑った。あれが柳崎?どこが?
作品名:その穴の奥、鏡の向こうに・穴編 作家名:神田 諷