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空野 いろは
空野 いろは
novelistID. 36877
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安全な戦争

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 戦車が降下する時には、黒い鉄板のようなものがキャタピラの下に接続される。その黒い鉄板は『降下用着地材』というもので、着地する寸前、大きくて黒いバルーンが現れ、着地の衝撃を和らげてくれる。車に備え付けられたエアバックのようなものだ。
 
 戦車は着地するエアバックのおかげで、音もなく着地した。中にいる俺たち隊員も、事故を起こした時のように舌をかまなくて済む。

「降下よし」

 異常がなかったことを、司令部に報告する。柏木は着地をしたと同時にエンジンをスタートして
おり、戦車全体に独特の振動が伝わってくる。

(そのまま北に十キロ進出しろ)

 司令部からはダイレクトに連絡が入るため、遅滞なく作戦を開始することができる。戦車はエアバックを置き去りにし、砂漠ばかりが広がる台地を驀進していった。

作品名:安全な戦争 作家名:空野 いろは