安全な戦争
戦車が降下する時には、黒い鉄板のようなものがキャタピラの下に接続される。その黒い鉄板は『降下用着地材』というもので、着地する寸前、大きくて黒いバルーンが現れ、着地の衝撃を和らげてくれる。車に備え付けられたエアバックのようなものだ。
戦車は着地するエアバックのおかげで、音もなく着地した。中にいる俺たち隊員も、事故を起こした時のように舌をかまなくて済む。
「降下よし」
異常がなかったことを、司令部に報告する。柏木は着地をしたと同時にエンジンをスタートして
おり、戦車全体に独特の振動が伝わってくる。
(そのまま北に十キロ進出しろ)
司令部からはダイレクトに連絡が入るため、遅滞なく作戦を開始することができる。戦車はエアバックを置き去りにし、砂漠ばかりが広がる台地を驀進していった。