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察人姫-第弐話-

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 ソラの実家から歩いて五分の場所にある露利(ツユリ)駅。その近くの中華料理店にソラとユーイチはいた。
「この小籠包、かなりイケるな。つか全部レベル高ぇ」
「値段に見合う味だね。リピート確定!チェックしとかなきゃ」
「ああ、また臨時収入があったらな。ところでよ、何でわざわざお前の実家近くで飯なんだ?正直渡貫まで結構時間かかるぜ?」
「ふふん、調査だよ、調査」
「調査?二件目と何か関わりがあるのか?」
「違うよ。別件別件」
 ニヤニヤと笑みを浮かべているソラの視線を辿ると一つの建物。名は気合塾。保澄学園の生徒が多く通っている塾であり、アタルもその一人。そしてもう一人……
「お、あれって……」
「ね、気になるでしょ?」
 三階建てで一階はガラス張りのラウンジになっている気合塾。そのラウンジの一番奥の席で休憩中だろうか、向かい合って談笑してるのはアタルと、放課後に二人の調査の手伝いをしていた柿内茜。
「……あのさ、ソラ」
「なになに?」
「お前、そんなだからアタルに冷たくされんだよ」
「なんで?こんなに弟のことを思ってるのに……」
 小首を傾げるソラの額をユーイチはため息を吐いてから小突き、店員を呼んでデザートを注文する。
「え、まだ早いよ。もうちょっとここで……」
「さっさと注文しろ。じゃなきゃデザートなしで今すぐ帰るぞ」
「……ユーイチの意地悪」
 いじけた様子で呟くソラだったが、注文した杏仁豆腐が運ばれるとすぐに機嫌を直し、上機嫌で帰るソラ。そんなソラを単純だなと笑いながらソラの後ろを歩くユーイチ。こうして保澄学園での調査三日目は終わった。



作品名:察人姫-第弐話- 作家名:朝朽 司