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察人姫-第弐話-

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「えっ……」
 ソラの発言に目を丸くして驚く茜。
「ああ、ちなみにそれって気づかずに設置してる場合が多いってことだからな。盗聴だと、例えばコンセントを挿すプラグだったり……製品の中に仕込まれているんだよ。もちろん業者を偽って仕掛けるパターンもある」
 そんな茜にユーイチはフォローするように説明を加える。
 二人のこの知識は刑事であるソラの兄から仕入れたものであり、最初にその話を聞いた時は二人も今の茜同様驚いていたようだ。
「ちなみにだ、ソラ。お前はその内部犯の中で“どの”タイプだと思う?」
「多分、依頼されてるんだと思うよ。高校生で器材を仕入れるルートやお金があるとは思えないし、何かとお金が必要な高校生は格好の獲物だしね」
 依頼。ある人間に器材を指定の場所に設置する代わりにお金をもらうパターンで、学校などでは学生に依頼するため比較的安価で取引ができ、正体がバレないことや連絡手段にさえ気を付けていればリスクは少ない。
「あの、私はそろそろ……」
「ああ、付き合わせてごめんな」
「いえ、協力できる範囲のことはしますので、早く犯人を見つけてくださいね」
「うん、ありがとね」
 まだ時刻は五時を回ったくらいで最終下校まで時間は十分にあるが、塾に行っているらしく、いつも平日は早めに帰るらしい。
「けど凄いよな、成績優秀で奨学金が出て実質学費はゼロ」
「ユーイチだって一回学年一位で奨学金もらったじゃん」
「あの時の僕はどうかしてたんだよ」
「ホントホント、勉強勉強で全く私と遊んでくれなかったし」
「お前は遊びすぎなんだよ……で、これからどうするんだ?」
「どうって?」
「調査だよ、調査。今日で三日目だろ?あんまりノンビリしてると約束の一週間じゃ解決しきれねぇぞ」
 一週間で三つの事件を解決というのはかなり無茶な条件。それ故にユーイチは少し焦りを感じているのだが、その条件を設定したソラはマイペースなままであった。



作品名:察人姫-第弐話- 作家名:朝朽 司