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察人姫-第弐話-

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「いいか、絶対告れよ」
「そーだよ、今押さなきゃダメだからね」
「はいはい、また明日」
 最後までアタルを弄り通した千早と正俊は駅から自転車での帰宅なので駐輪所へ向かう。アタルは徒歩で通える距離なので自転車は使わない。
「そんじゃまた後で行くからな」
「はい……あの、一緒に行きましょうか?」
「いや、あまり会わせたくないからな。風呂にでも入っていてくれ」
「そーだよ、あと私の部屋のベットメイクもね」
「……」
「無視!?」
 そうしてアタルを見送った二人は、ユーイチが門田にメールで指示した駅近くのコンビニへ向かう。





「……これが買い取ったUSBだ。おい、本当なんだな?これを渡せば警察には知らせないって」
「ええ、約束しますよ」
「しかしデータを渡せとか……お前も好きなんだな」
「僕らは探偵です。これ以上不快なことを口にするなら対応を考えさせてもらいますよ」
「わ、わかった。とにかく約束は守ってくれよな」
 コンビニ入口付近で待っていた門田からユーイチはUSBを受け取る。その際に嫌な笑みでユーイチをからかうが、冷めた目で返され、慌てながら門田は帰っていった。
「弟君とはだいぶ違うね」
「だな」
「で、約束ってやつ……本当に守るの?」
「ああ、約束は守るさ。僕からは警察に知らせない……ま、仕掛けた犯人が分かれば門田につながるけど……それに関しては責任持てないな」
「うわ、ひどいね」
「お前の兄貴よりマシだろ」
 そんなやり取りをしながら二人はデータを入手し、ソラの実家へ向かうのだった。



作品名:察人姫-第弐話- 作家名:朝朽 司