【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた
「京助!!!」
呼ばれた
「京助!!!!!」
もう一度呼ばれる
【誰がどうして呼んでんだ?】
【てかそんなにでっけぇ声で叫ぶようにいわなくてもすぐ側にいるのに】
【でもおかしい】
【すぐ側にいるのにどうして…顔が見えないんだ?】
【つーか…なんで俺泣いてんだ?】
【…あー膝イテェ…ってか血ィでてんじゃん…;】
【オイオイこの年になってコケて泣いてるってさぁ…】
足音が数センチ近くで止まってポフっと頭に感じた感触
そして目の前に差し出されたピンクのファンシーな超可愛い絆創膏
【…コレを貼れと…;】
【うっわケッティちゃんだってさー…あっはっはかっわいいねぇ…はぁ~ぁ;】
「京助!!!」
まただ
呼ばれた
【なんだよ; ってか声でっけーよき…】
一体誰の声なんだろう
今誰の名前を呼ぼうとしたんだろう
どうしてこの声がそいつの声だってわかった?
一気にこみ上げてきた不安で絆創膏を差し出している手の主を思わず見上げた
【……あ…】
無意識に一言喉から声が出た
作品名:【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた 作家名:島原あゆむ