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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた

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薄暗くなった部屋の天井がだんだんとはっきり見えてきて悠助が体を起こした
「暑い~…」
しっとりと汗ばむ自分の体にへばりついていたシャツを引張って風を送り込みながら辺りを見渡すとすぐ側には寝息を立てている慧喜
その前髪は悠助のシャツと同じように肌にへばりついていた
更に部屋を見渡すと少しはなれたところに並んで寝ているガキンチョ竜が見えた
少しまだショボショボする目を擦ると悠助が何気に立ち上がり部屋の戸を開け廊下にでる
「…誰もいない…の?」
物音のしない家の中
部屋の中を振り返ると寝ている慧喜とガキンチョ竜がいた
ソレを見て安心したのか悠助が戸を閉め廊下を歩き出した
キシキシと鳴く廊下を歩き縁側のある和室の前を通ろうとした時
「京助!!!」
緊那羅の声が聞こえたあとバタバタと何か騒がしい物音がし始め
「ちょ…京助!!京助ってばオイ!!」
「どうしたっていうのよ! ちょっと!!」
「救急車か!? きゅうきゃしゅ!!!?」
「乾闥婆!」
今日は帰らないと言っていたはずの京助という名前を呼ぶのは南の声に似ていた
部屋を覗かなくても何か大変なことになっているということが声だけで感じられた
「京助!! 京助ッ!!!」
「オイ布団!! フットン!!;」
「落ち着いてくださいッ!!」

スパーン!!

ギャーギャー喚く声と何かを叩いた音
「…京助…?」
ぎゅっと自分の服を握った悠助が恐る恐る和室の戸を開けた
見えたのはみんなの後姿
何故かものすごく怖くなって悠助はその場から逃げるように駆け出した
目が痛い
でもそれ以上に足…膝の辺りがジンジンと痛かった
見覚えあるでもちょっと違う景色
足音がして無意識にその足音の方向を見て…