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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた

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「…迦楼羅…」
坂田のあとを追いかけようと腕を下げ駆け出そうとした迦楼羅が自分の着物の裾を踏んでコケた
「完全なるギャグキャラだな迦楼羅」
それを見て中島がボソッと呟く
「それよりそんなことより---------!;;」
南が地団駄踏んで坂田の方向を指差す

「柴田…ッ!!」
「…若…」
息を切らせて半ベソはいっているような顔で坂田が清浄を見た
「鼻水出てますよ? 格好悪いなぁ…」
からかう様に清浄が苦笑いで言う
「…どうでもいい…そんなことどうでもいい…」
俯いて首を振りながら言う坂田に清浄が歩み寄って自分の服の裾で坂田の鼻をつかんだ
そして上を向かせるとフガフガ言う坂田を抑えて鼻水を拭く
「よくないですよ仮にも坂田組の跡取りが…」
「…柴田なんだろ?」
ねろねろした鼻水がついた裾をつかんで坂田が言う
「清浄!!」
矜羯羅の声が聞こえ振り向くと目の前に迫っていた緑色の光り
見据える空の緊那羅は瞬きもせず
「--------------------ッ!!」

ぬくもりを感じた瞬間ぬくもり越しに感じた衝撃

広がった光とずり落ちていく眼鏡
「…若…」
眼鏡がずり落ちたせいで多少ぼやける視界
耳元で吐息まじりに聞こえた聞きなれた声
「俺なんかを家族だって…言ってくれたこと嬉しかった…」
「…かったって…かったってなんで過去形なんだよ…」
清浄の背中に回した手に感じたあたたかなでも感触の悪い液体の色は赤かった
「ははは…そういえば…そう…ですね…なんで過去形なんだろう…」
ヒューっという息が清浄の声とともに吐き出される
「嬉しいだろ…かったって…かったって言うな…」
「だっぱ!!」
阿修羅の声が響いた
「…若…ぁりが…---------------------…」
「…ありが…なんだよ…」
「どいてください!!」
乾闥婆が坂田から清浄を引っぺがし小瓶の口を清浄の口に突っ込んだ
「…坂田!!」
南と中島が坂田に駆け寄った
坂田は自分の両手を見たまま動かない
「…だ…大丈夫だッ!!」
そんな坂田を南ががばっと抱きしめると中島も同じように坂田を南ごと抱きしめる
「…緊那羅…いや…お前は緊那羅…なのか? それとも…」
迦楼羅が緊那羅を見上げ問うと緊那羅がゆっくりと地面に降り立ち迦楼羅を見据える
「…お前は…」