【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた
必死だった
手を伸ばした
そんなに深くない
大丈夫…すぐ届くと思った
でも…
つかめなかった
青に浮かぶ白がゆがんで声が枯れた
いくら呼んでも叫んでも手を伸ばしても
膝に貼りっぱなしだったピンクの絆創膏がはがれて波に流されていく
もう泣かないから
もう転ばないから
もう困らせないから
だから…
名前を呼んで
頭を撫でて
一緒に遊んで
今日帰ったら母さんがスイカ切ってくれるって言ってた
夕方になって涼しくなったらコマとイヌの散歩に行こう?
花火もう線香花火を一気にやったりしないから
布団蹴っ飛ばしたりしないから
悠の粉ミルクもう食べないから-------------------------…
------------------------…操ちゃん-----------…
作品名:【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた 作家名:島原あゆむ