【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた
「香奈ッ!!!!!」
矜羯羅の言葉が阿部の叫びに近い声でかき消されその声に一同が立ち上がった
「どうし…」
阿部の姿を鳥居の下に見つけ駆け寄った坂田が何かを見てそして一歩後退した
「な…にして…」
震える声で坂田が誰かに聞くとジャリっと言う音共にその【誰か】が最後の石段に足をかけた
「…-----------------------ッ!!!」
【誰か】の姿を見た緊那羅が目を見開き口を押さえて座り込んだ
「緊那羅!!!?」
鳥倶婆迦が緊那羅を支え名前を呼ぶ
制多迦と矜羯羅の目付きが変わった
何か懐かしいものをでも今は見たくなかったものを見たような渋い顔で【誰か】を見据える
「…だいぶ思い出してきたんきにな…緊那羅」
「何をだよ!! 何なんだよ!!;」
緊那羅の肩に手を置いた南があからさまに混乱してる様をあらわにして阿修羅に怒鳴った
口を押さえうずくまる緊那羅の目からは涙が流れ呼吸が荒くなっていく
「乾闥婆!!」
「かるらん…ちょい待ってくれな…コレはだっぱじゃどうしょうもできんきに…」
苦しそうな緊那羅を見た迦楼羅が乾闥婆を呼ぶと阿修羅が言う
「かといってオライ達にもどうしょうもできんきに…コレは緊那羅自身がなんとかしないといけんきにさ……思い出すんだ…」
作品名:【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた 作家名:島原あゆむ