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てっしゅう
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「セックスアンドザシックスティーズ」 序章

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一番最初に待ち合わせ場所に着いたのはこの企画をした東京から来た映子だった。世間がうらやむような典型的な結婚をして二人の子供を独立させて世田谷に夫と二人で暮らしていた。時々長男の孫と近所に住んでいる長女の孫の遊び相手をして楽しい時間を過ごしていたが、小学校高学年になる頃から孫達は家に寄り付かなくなって来た。二人で始めるような趣味も無く夫は定年後も再雇用で役員として今の仕事場に勤務することが決まっていたから、自分だけの楽しみを見つけたいとパソコンを始めて仲間と語り合うためにコミュに入った。

二番目に来たのは大阪の恵子だった。もともと実家が心斎橋で飲食店を経営していたが、店舗を何店かに広げすぎた影響でバブル後に来た不況を乗り越えることが出来なくなり倒産してしまった。借金のことで夫と揉めて子供を引き取る約束で離婚が成立した。一人っ子だった娘も成人して両親も亡くなり一人暮らしをしていた。
三番目に来た浜松の美紗子はずっと独身でいた。背の高い4人の中では一番目立つ色白の美人だ。他の3人は独身だからそうなんだと決め付けていたが、どうやらそうでもないらしい事が後で解る。
そして最後に時間通りにやって来た地元の典子は今夫婦の危機に陥っている状況だった。夫が浮気をしてどうやらその相手と再婚したいらしい雰囲気なのだ。
もちろんすぐに離婚に応じるつもりは無いが、完全にすれ違いの生活に疲れてきていることは間違いが無かった。
お互いの顔はシャメで確認済みだから迷うことなく待合場所で会うことが出来た。