小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

「ぶどう園のある街」 最終回

INDEX|6ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

野村雅子はそういうと目から大粒の涙をこぼした。そしてすぐに肩が震えるぐらいに泣き出すようになっていた。

「雅子さん、思い出せたのね・・・良かったわここへ来て。悲しみを閉じ込めていたから他の記憶も一緒に閉じ込めてしまっていたのね。今日から新しく人生をやり直しましょう。失っていた時間を二人で取り戻しましょうね」
「はい・・・美也子さん、本当にありがとう・・・」

雅子はアルツハイマーなどではなかった。美也子にはそう感じられた。

しばらくして高見の計らいで雅子はコンビニで仕事を覚えさせてもらうことにした。アルツハイマーと言われていた症状に回復が見られたので、一般生活が可能であるとの判断により退所しなければならなくなっていた。ぶどうの家は通常の有料老人ホームとはシステムが異なっていたため健常者は入居出来ない決まりがあったのだ。美也子は上司にすぐに独り暮らしが出来ない事情を伝えて雅子の退所には猶予期間を与えてもらっていた。
生活をするためには働いて収入を得るか、生活保護の届けを出すかしなければならない。
美也子と一緒に役所に相談したが、兄がいたので生活保護の申請は難しいだろうと返事された。それに雅子本人の希望もあって、できれば働いて生計を立てたいとの意欲も叶えてあげたかった。交際相手だからといって頼んでいいものか悩んだ末、高見に思い切って打ち明けた美也子だった。